粉ミルクを溶かすお湯は70度以上で煮沸も必要って聞いたけど、本当かな?
煮沸までさせるのは、ちょっとめんどうだな…
そんなことを思ったことはありませんか。
この記事があなたの疑問にお答えします。
この記事では2児の子を持つ理系院卒のエンジニアが、
- 粉ミルクを溶かす際に、煮沸した70度以上のお湯を使う必要があるのか
- 実際に行っているわが家のケース
について、厚労省やWHO, 粉ミルクメーカーの見解を踏まえながら、わかりやすく紹介していきます。
この記事を読み終える頃には、赤ちゃんの健康と安全はそのままに、粉ミルクを気楽に作れるようになって、今よりもっとていねいな暮らしができるようになりますよ。
本記事では厚労省やWHOの見解を記載しながらまとめておりますが、私自身は医師などの専門家ではありません。
「公的機関の意見を踏まえて、私ならこうする」という考えをご紹介していることをご理解いただき、ご家庭に取り入れるかどうかの参考にしていただければ幸いです。
目次
結論
まずは結論からです。
「粉ミルクを溶かすお湯は70度以上で煮沸も必要なのか」についての結論はこちらです。
- 粉ミルク中の菌を死滅させるために、お湯は70度以上が良い
- 煮沸させる必要性は低く、煮沸は必須とは言えない
それぞれ順番に見ていきます。
粉ミルクのお湯はなぜ70度以上であるべきなのか
まずは「なぜ70度以上であるべきなのか」についてお話しします。
粉ミルクを70度以上で溶かす理由は、サカザキ菌を熱湯で死滅させるためです。
サカザキ菌とは、粉ミルクの製造過程~授乳までの間に入ってしまう菌になります。
この菌は乳児にとって有害とされておりますが、以下の厚労省やWHOのガイドラインにある通り、70度以上のお湯を利用することで死滅させることができます。
乳児用調製粉乳の調乳に当たっては、使用する湯は70℃以上を保つこと。
厚生労働省
赤ちゃんはまだ抵抗力や免疫力の弱い状態です。サカザキ菌や身のまわりにいる菌が死滅する温度が70度以上であるため、調乳温度も70℃以上としております。
グリコ(粉ミルクメーカー)
このように70度以上のお湯を使うことは、厚労省や粉ミルクメーカーも推奨しており、素直に従った方が良いと言えます。
粉ミルクのお湯はなぜ煮沸すべきと言われるのか
それでは「なぜ煮沸すべきと言われているのか」についてお話しさせてください。
今回調べていく中で最終的に私が至った結論としては、
粉ミルクに使うお湯は煮沸する必要性があるとは言えない
となります。
とはいえ、まずは「煮沸が必要」と言われる背景から振り返っていきましょう。
煮沸が必要な理由としてあげられるのは、
- 水道水の残留塩素、トリハロメタンが有害である
- 残留塩素、トリハロメタンは煮沸することで取り除ける
という意見です。
一方で、これらの意見については公的機関や粉ミルクメーカーから出されたものは見つかりませんでした。
残留塩素・トリハロメタンとは何か・本当に危険なのか
まずそもそも残留塩素、トリハロメタンとは何なのでしょうか。
東京都水道局では、以下のように述べられています。
川などの水には、植物が枯死し、分解したときにできる腐植質や都市排水などの中にある有機物質が含まれています。水道水をつくる過程で塩素処理を行うと、これらの物質と塩素が反応してトリハロメタンができます。
東京都水道局
河川の水を塩素消毒させる際に、どうしてもできてしまうものと言えます。
一方でこれが危険なのかと言うと、同じく東京都水道局からは以下のようにお話しされています。
水質基準は、生涯にわたり連続して摂取しても健康に影響が生じない水準をもって、基準値が設定されています。
東京都水道局
これらの意見をまとめると、
- 確かに水道水には残留塩素、トリハロメタンが含まれている
- ただし、それは健康に影響が出る量ではない
と言えるでしょう。
おそらく、慣れない子育てしている親御さんはどうしても心配性になってしまうと思います。
そのため、ほんのちょっとでもリスクがあるという話をされると、「煮沸させなければならない!」となってしまうのは仕方ないことだとも感じます。お子さんのことを思ってのことなんですもんね。
ただ、頑張りすぎて疲れてしまうのであれば、そこまで頑張る必要がないところはちょっと休んでも良いと思いませんか。
煮沸は労力の割に効果は薄いです。良ければ煮沸をやめることを試して見られてはどうでしょうか。
それでも残留塩素が気になるなら
ただ、「それでもリスクは限りなくゼロにしたい」と考えられる方もおられるでしょう。
そういった方には、
- 軟水のミネラルウォーターを利用する
- 水道水を煮沸する場合は、10分以上煮沸する
がおすすめできます。
まずミネラルウォーターについてです。
煮沸する必要性については「水道水に含まれるトリハロメタンなど」を除去するためです。
そのため、そもそもトリハロメタンが入っていないミネラルウォーターであれば煮沸の必要はありません。
同じ観点で言えば、ウォーターサーバーを利用するのも良いでしょう。
次に水道水を利用する場合についてです。
こちらについては、トリハロメタンなどを除去するためには10分以上煮沸する必要があります。
また10分以上煮沸した場合も完全に除去することはできません。
結局リスクはゼロにできないことは理解して、煮沸時間を守ってお湯を作っていただければ幸いです。
まとめ
まとめに入ります。
- 粉ミルク中にはサカザキ菌などが含まれており、菌を死滅させるために70度以上のお湯を使うのが良い
- 水道水には塩素などが含まれているが、健康に影響を及ぼす量ではないため煮沸させる必要性は低い
- それでも塩素などが気になるのであれば軟水のミネラルウォーターという選択肢もある
- 水道水を利用したいけど、どうしても塩素が気になるのであれば、煮沸は10分以上するのが良い
以上となります。参考になると嬉しいです。
それではこれからもお子さんとの幸せな日々を過ごしてくださいね。